第27章 「無免許運転の結末」
はじめに
【無免許運転での思い出】も今回のこの章が最後となりますが、前章にも、そして前々章にも同じ事を書いてしまいますが、本当によく、『人身事故を起こさないで済んだものだ』と、ただ々そう思います。 あの時、助手席に乗っていた彼に大怪我をさせてしまっていたら・・・。
逃走している最中に、もし歩行者の方を轢いてしまっていたら・・・と、運が良かったからだけとは言い切れないものを感じます。
もし、本当にそうなっていたら今の私はこうして存在してはいないでしょうね〜・・・。
「もう一人の自分ではどうする事もできない自分」
事故を起こした車を捨てて逃げ切った翌朝。その日の朝の自分の心情はどの様なもので在ったかは憶えてはいませんが、きっと眠れぬ一夜だったことでしょう・・・。私はオヤジと帳場さんに連れられて警察署へ行きました。帳場さんが受付を済ませてある部屋の前に差し掛かると、車に同乗していた彼が先に来て廊下で待っていました。彼とは一言の会話も出来ぬまま、私達も廊下で待つ事となりました。
オヤジと帳場さんがまず先に呼ばれて部屋の中に入って行きました。
どれほどの時間だっただろう・・・。待つこと数十分?その時間がどれ程の時間だったかは全く記憶にないけれど、次に私だけが部屋に呼ばれました。
その部屋の中には沢山の警察官が居て、私はその部屋の中でもとても偉そうな感じの警察官の人の前に連れて行かれたのです。
その警察官の前の椅子に座らされ、座るや否や『君が運転していたのか?』と質問されました。その質問の仕方が、まるで運転していたのは私ではなくもう一人の彼が運転していたのではないか?と問うような質問の仕方でしたが、私は素直に自分が運転していたという事を話しました。
その理由を聞かれ、『もう少しで車の免許も取りに行く事になっていたのに・・・。』という事も付け加えて話しましたが、その事は既に誰かから聞いて知っていたようでした。
そして私は同乗していた彼には何の責任も無く、無関係である事も正直に話しました。
それに、これは関係の無い話でしたが、折角オヤジが車の免許を取りに行くお金を出してくれる事になっていたのに、それら全てを自分自らが全てを駄目にしてしまった事の今の胸の内も話し、『これで自分は、少年院か刑務所に行く。』と思っていましたよ。覚悟していましたねぇ〜・・・。
車を、それも新車を、あれほどグシャグシャに壊してしまった事に、『これから働いて返せるものならともかく、このまま少年院や刑務所に行くんじゃそれも出来ない。』
『俺はなんと、とんでもない事をしでかしたんだぁ・・・。』と、後になって事の大きさに気づき、とても深く反省していましたよ。
しかしいくら反省しているとは言え、ただただ申し訳なく、『俺はどうしょうもなく駄目な人間なんだ。』と自分を罵倒する事が精一杯でしたよ。
もう一人の別の警察官の方が、『あれ程の無謀運転をしてよく対向車ともぶつからず、人を轢かないで済んだものだなぁ〜・・・。』と話されました。が、きっとその警察官の方が事件の当日、自分達を追い掛けた警察官の方でしょう。本当にその事に関しては『助かったぁ』と深く思いましたね。
交差点だって一か八かの暴走運転です。あの時、左右から車が来ていたら?と思うと・・・。幸いにして車がひっくり返ってしまうような事をしながらも、助手席の彼にさえも怪我を負わす事もなく済みました。それに自分はかすり傷一つ負う事も無く済んだのは、単に「ラッキーだったぁ〜!」では済まされないでしょう。
偉い感じの警察官の方に、『本当に君は反省をしているかな!?一生懸命働いてでも車を弁償する気持ちがあるかな?』という事を最後に聞かれ、その事に今自分が思っている事を正直に話しました。本当に申し訳なく、そして自分がしでかした事の償いは『少年院か刑務所に行く事しか出来ない』と思っている事を最後に話し、部屋を出て廊下で待っていました。
廊下には既に彼の姿はありませんでした。その廊下で待っている間、本当に自分は色々な事を考えました。車の免許を取れるチャンスを折角貰ったのに、自らの手で失ってしまった事や、そして『こいつは、本当に行く所まで行かないと解からないんだ!』と、自分をそう思ってしまっていた事。そんな事を考えて廊下で待っていた時間はどれほどの時間だったかは憶えてはいません。もう時間など、自分にとってはどうでもよかった事なのです。
そうして待っていると、もう一度部屋に呼ばれましたが、その時は『いよいよ少年院行きだぁ』と、覚悟して部屋に入って行きましたよ。
あの時の自分の心境をどう書いたら皆さんに伝わるのかと考えるのですが、とても上手く伝える事はできませんが、もう自分の全てが終わったようなそんな感じでしたよ。
自分でさえも、『こんな自分は、少年院か刑務所に行かせるしか方法はないだろう〜』と思っていましたよ。もう自分の力では、自分をどうする事も出来ないと思ってしまっていましたよ。
「人の真心」と「戒め」
警察官の方が、『君は本当に深く反省しているようだね。君は若いし、そしてこれからだぁ。こんな事で自分の人生を棒に振ってはいけない。幸いな事に人を傷つける事が無く済んだ。君も深く反省している様だし、車だって一所懸命働いて弁償しなくてはならない。車は全損だから本当に一生懸命働いて一日も早く車を弁償して返さなければ会社が困るんだからね。お父さんも車を見て、君を怒る気にもなれないと言って落ち込んで一人で先に帰って行かれたよ。そうとう君に車の免許を取らせる事を楽しみにしていた様だったよ。駄目だよ!そんなお父さんの気持ちを裏切っちゃ。』と・・・。警察官の方に言われたあの時の言葉は、一生忘れられないでしょうね〜・・・。こうして話された事で、怒る気にもなれないほどオヤジを落ち込ませてしまった事。そして『・・・駄目だよ!そんなお父さんの気持ちを裏切っちゃ。』と、警察官の方のあの言葉がとても重たくて・・・。そして自分でさえ、二度と立ち直れない程の衝撃を心に感じました。とっても・・・。普段は忘れていますが、今でも事ある度にこの時の事は思い出します。
結局、『君が今回した事は立派な犯罪です。これから車を弁償する為に一生懸命働いてお金を返してゆかなければならない事の大変さは、このまま刑に伏させる事よりも、君にとってはもっと大変な事だろうと思う。幸いな事に誰にも怪我を負わせる事が無く済んだ事から、君の将来を考えて今回はお父さんに預けるから、これから一生懸命働いて一日も早く車を弁償してお金を返しなさい。・・・(この間は覚えていません。)・・・そして頑張って良い青年になりなさい。もったいないよ!いいね〜!?』と言ってくれたのです。が、正直、その事がどういう事なのかが、その時の自分には理解出来なかったのです。
後でその事が何を言ってくれていたのかが理解できましたが、そんな、とても温情ある配慮でしたが、その時、『おまわりさん。僕、自分で自分が分かりません。それに自信ありません・・・。』と、自分の正直な気持ちを言ってしまいましたよ。それほど、自分でも自分が解からない、理解できない自分になっていましたよ・・・。
自分でも更正したいとは強く思ってはいたのです。ですが、もう自分でさえどうする事も出来ないと思っていました。『こんな奴は一生刑務所入れて置いた方が、世のため人のためには良い』と、自分の事を本気でそう思っていましたよ。『こんな奴、また社会に野放しにしたら、この先またどんな事を仕出かすか・・・。』と、本気で思ってしまいましたよ。
温情あるその警察官のご配慮にはとても嬉しく、また、その人の優しさや思いやりが、その時の自分にはとても重荷に感じてしまっていました・・・。
自分に期待を掛けられれば掛けられるほど、その重さに潰されそうで・・・。
それほど自分は、頭が良くも、勉強が出来る訳でもない。人の役に立てる事など、どう逆立ちしても出来る訳のない奴だと自分では思ってしまっていました。ですから、警察官のその温情ある配慮は、その時の自分にとってはとても荷が重く感じて、このまま少年院か刑務所に入れて貰った方がどれだけ気が楽かと思いましたよ。悲しいかな、本当にそう思いました。
とにかく、今自分の全てがここで終わる。もうどうなってもいい・・・。とにかく、楽になりたい・・・。とにかく気持ちが楽になりたいとだけ思いましたぁ・・・。
そうした私の心中とは裏腹に、結果、今回の事件で負うべき私の責任は、『とにかく車を一日も早く弁償し、時が来たら車の免許を取る事!』となり、全てを許して頂けたのです。
この時も本当に人の温かい真心に触れているのです。それを感じ、どんなに涙を流した事か・・・。自分ではもう自分をどうする事も出来ず、自分には更正しようとする気力さえも無い事をお話したにも関わらず、その温情ある配慮がどれほど嬉しく、また、どれほど心苦しく重い物に感じた事か・・・。楽になりたかったぁ〜・・・。とにかく楽になって自分から解放されたかったぁ〜・・・。『このまま自分を、また外へ解放してしまったら、またどんな事をするかも知れない・・・。だから誰か助けて〜・・・。自分を何処かで隔離して欲しい〜・・・。』と、流す涙のその奥に、そんな思いがあり、とにかく楽になりたかったぁ〜・・・。とにかく楽に・・・。
そんな事を思い泣き崩れていると、フッと彼の事が突然心配になり、『彼はどうなったのですか?』と泣きながら尋ねると、『彼はもう帰ったよ。何も罪にはならなかったよ。ちゃんと今まで居た所に帰ったよ。』と言われ、その言葉で、自分の何かが怒涛の様に全てが崩れて行くかの様に感じ、安心してグチャグチャに泣いてしまいました。
『ありがとうございました。すみませんでした・・・・。』と泣きながらお詫びを言ったあの時の事は、今後も事ある毎に思い出し、そして、けして忘れてはならない経験だと思っています。
そして最後に、もう一人の警察官の方が、私が『止まらないと撃つぞー!』と言った時に、『撃つなー!』と答えたのは君かい?と聞かれ、『そうです』と答えると、『あの時、君が答えなかったら本当に撃っていたところだよ。でもその声を聞いて、子供だと分かったから撃たなかったんだよ』と話してくれましたが、これも単なるラッキーでは済まされない気がしているのです。
その後は、結局は一所懸命働きました。車のお金を返す為に一生懸命・・・。
昼も夜もとにかく一生懸命に・・・。そして当時のお金で70・80万円だったと思いますが、1年かからずに弁償する事が出来ました。しかし、そうして働き出すまでには数週間、さ迷いました・・・。そして車の免許は?
さ迷い歩いたその時にも、また、免許を取りに行き始めた時にも思い出がございます。
機会があればその時の事はいずれ書かせて頂きます。
最後に
本当に助けられているんですね〜・・・。これからの「こんな人生だからこそ」に書く多くの経験は、普通では理解しがたい、『そんな事、ありえない!』と思われても仕方ないような数々の出来事や経験です。
ですが、それもこれも何かが私を助けてくれていたと思うのです。本当にそう思います。
そして、こんな数々の経験があるからこそ、それらの経験と感謝の気持ちを忘れずに、出来る限り自分と闘い、そして自分に負けそうになるその度に様々な経験を思い返しては、ほんの少しずつでも前へ前へと歩む努力をしてゆかなければいけないという事を、こうして書いていてそう思います。そして歩むその努力は、それは自分自身の中にある物だと、そう思います。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
荒町 真樹生
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